冬晴れが心地よい師走の候、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
12月13日は「正月事始め」と呼ばれ、お正月を迎える準備を始める日とされています。昔はこの日から門松やしめ縄を用意し、大掃除を行うのが習わしでした。現代では年末ギリギリに掃除をする人も多いですが、昔の人々は13日から少しずつ準備を進め、新年を清々しい気持ちで迎えていたのです。
年の瀬に思う日本の風習
年の瀬に思う日本の風習
さて、そんな正月事始めの時期に旬を迎える野菜のひとつに「蕪(かぶ)」があります。蕪は日本の食文化に深く根付いており、おせち料理にも使われる縁起の良い野菜です。その丸い形は「円満」や「豊かさ」を象徴し、「株が上がる」という言葉にも通じることから、商売繁盛の願いも込められています。また、関西地方には「蕪のすし」という伝統的な郷土料理があり、塩漬けした蕪に酢飯を詰めて発酵させるというもの。これは「なれずし」の一種で、独特の風味とさっぱりとした味わいが特徴です。さらに、京都の冬の漬物として有名な「千枚漬け」にも蕪が使われます。薄くスライスされた蕪が昆布の旨みをまとい、正月のおせちに彩りを添えます。
12月が旬の「蕪(かぶ)」
12月が旬の「蕪(かぶ)」
寒さが増すこの時期、甘みを増した蕪は煮物や味噌汁にぴったり。正月の準備をしながら、蕪のほっこりした味わいを楽しむのもまた、日本の冬ならではの風情ではないでしょうか。
おわりに
新しい年を迎えるにあたり、昔ながらの風習や旬の味覚に目を向け、心を整えてみるのもいいかもしれません。